クロがいなくなり、ただつわりで苦しむ日々。
クロがいなくなった虚無感を感じる気持ちの余裕もなく、むしろクロが考えないようにしてくれたのかとも思いますが、前を向くしかない状況でした。
食べづわりで、お腹が空くと吐き気が強くなってくるので、お昼前の11時や定時前の16時以降になるとどうしようもない吐き気に襲われます。午前11時には毎日必ず給湯室にバナナを持ち込んで貪るように食べ、なんとか昼までの1時間やり過ごし、16時にはミニトマトやナッツ、小さいせんべい、ウエハースなどをむしゃむしゃ食べていました。でも結局ごまかせるのは最初の一口、二口食べる瞬間ぐらいで、食べ終わる頃には普通にムカムカしているんですよね。他の時間はひたすらガム噛んだりしていましたが、効果があったかはわかりません。
つわりが始まってからはこの食べづわりのせいもあり、一刻も早く帰りたくて、なんとか定時に仕事を終わらせるようにしていました。それでも、つわりの症状が強い時期に避けられない仕事の繁忙期が重なり、どうしても残業が避けられない時期もありました。
夕方にお菓子を食べてもそこから2時間以上経ってくると、ものすごい吐き気が襲ってきます。この時期から人生で初のえずきを経験するようになりました。みんな帰って誰もいない事務室で、吐き気と戦いながらカタカタ仕事をし、トイレが近くにないので、急な吐き気をこらえようとしたら、「おおえええええええー!!」と、、、。本当に自分でもショックなぐらい汚い音が出ていました。何度か間に合わずに持っていた袋の中に吐いてしまったこともありました。この時の孤独感たるや。涙が出てきました。なぜ私はこんなに吐きながら一人で仕事しているのだろうか、、、。
定時に帰れた時でも職場の建物を出ると、それまで我慢していた吐き気が一気に押し寄せるのか、えずきながら車まで行き、誰にも聞かれていませんようにと祈っていました。車の中でもオエオエ言いながら、なんとか家にたどり着くという感じで、運転しているときにえずくと運転どころじゃなくなってしまうので、本当に危険でした。
食べ物も受け付けなくなるものもいくつかあり、珍しいと思うのですが、菜花が一番無理でした。普通の家庭ならそんなに菜花を食べないかとは思いますが、夫の祖母が菜花を毎年たくさん作って分けてくれるので、ものすごい量の菜花を毎年食べます。妊娠がわかった時期ぐらいまでは、例年通りたくさん食べていたのですが、妊娠がわかってから急に受け付けなくなりました。茹でた匂いはもちろんのこと、見ただけで味を想像してしまうからなのか、吐き気を催しました。ついには、菜花と名前を聞いただけで味を思い出して吐いたこともあるほどでした。
ありがたいことに、ご飯を実家の母が作ってくれていたので、つわり中に料理をせずに過ごさせてもらいました。なんて贅沢な話ですかね。ですが、もちろん母の作ってくれたもので、本当は食べたくないと思うものもあるわけです。でももちろん作ってもらってそんなことは言えないので、無理矢理食べて気持ち悪くなっていました。
つわりが終わりを迎えると言われる12週、14週、16週を迎えても一向にムカムカは収まる気配はなく。絶望していました。
もともと食べることが大好きなのですが、気持ち悪くて何も食べたくない、でも食べないと気持ち悪い、食べてもまた気持ち悪いという無限ループにもう耐えられなくなっていて、毎日表情も暗かったと思います。母にもお母さんがそんな顔してたらダメ!と何度言われたかわかりません。
仕事の方は、繁忙期が終わってからはもう何が何でも定時に帰ってやるという気合いで、ほぼ残業することはありませんでした。これは自分的には結構快挙だと思っています。でも、やっぱり最後まで精神的なストレスも多かったです。本当は周りの人がしているように有給消化をくっつけて早々に産休に入りたかったですが、そのタイミングは忙しい時期に当たる頃だったので、上司からそんな提案をしてくれる訳もなく、自分から言い出す勇気もなく、泣く泣く規定通りの産休入りになってしまいました。
9月末から産休入りだったので、一番暑い時期に妊娠後期だったことも大変でした。それからコロナ禍でまだマスク着用しなければならず、息がこもってさらに暑く、ただでさえ大きなお腹で息苦しいのに余計に息ができず、吐き気も増して、絶対赤ちゃんにも良くない気がしました。
一刻も早く産休に入りたかったですが、私が産休に入ることで周りに迷惑をかけるのは嫌でした。私に聞かなくてもすべてわかるように引き継ぎ書を作って、残していく仕事はできる限り無くすことを目標に最後は全力疾走という感じで走り切りました。
産休に入ったら、ストレスレベルが全然違って、大嫌いな仕事をやりきってここからしばらく働かなくてよくなる解放感がすごかったです。
それから、妊娠初期には、つわりが終わったら実家から帰るつもりでしたが、結局最後まで終わることがなく、そのまま出産まで住まわせてもらうことになりました。こんなことになるなんて思ってもみませんでした。笑
というわけで、産休に入って毎日ゆったりさせてもらいました。朝と夜にヨガを日課にして、それ以外はいろんな映画やドラマを観まくったり、おしゃれなカフェに行ったり、今思うとやっと妊娠を楽しめた時間だったのかなあと思います。